S・J・F!
サーフのヒラメ釣りで欠かせないアイテムの一つ「メタルジグ」ですが、その短調な見た目や作りから、それを使うことに飽きてしまう方も多いかと思います。
しかし、短調だからこそ奥が深いというか、突き詰めれば詰めるほどメタルジグに留まらない釣りの「技」を熟練させることが出来るというのが魅力です。
ミノーやシンキングペンシルなどのプラグは、よく作り込まれている分さまざまな制約が付きますが、その豪勢さに釣られて意外と盲点になっています。
筆者は、常々プラグでのヒラメ釣りをシェアしていますが、2019年から極めて自由度の高いメタルジグだからこそ出来る繊細なサーフの釣りを「Surf Jig Finesse(サーフジグフィネス)」と名付け提唱しています。
YouTubeの動画では要所要所でメタルジグでのヒラメ釣果をUPしていますが、全てこの「Surf Jig Finesse(サーフジグフィネス)」に基づき釣りを展開した結果であり、その「技」はプラグにも120%活かしています。
また、昨年は YouTubeチャンネルメンバーシップの方がこの釣法を実施することにより、70UPの座布団ヒラメをGetすることに成功しています。
2021年春のシーズン開幕前(宮城サーフは)にこれをシェアすることによって、より多くのサーフアングラー様が良き体験をすることの手助けになればと思っております。
YouTubeのチャンネル登録もよろしくお願いします!
本記事の内容
今更メタルジグなんて…とは思わずに、少しずつ目線を変えて振り返っていきましょう。
筆者は、メタルジグのそもそもの魅力や利点をこのように考えているので、先ずは簡単にまとめてご紹介します。
- 遠くに飛ばすことができる
- 沈下速度が速い
- 自由度が高い
- 極めて感度が良い
- バラエティ豊富な商品群の中から選択できる
鉛、鉄、タングステンなどがインゴットされ作られているメタルジグは比重が重く、プラグよりも遥か遠くまでキャスティングすることができます。
一部、スローフォールの仕掛けが成されて作られている物もありますが、基本的には金属の塊が水中に「ボトっ」と沈むその様ですし、浮遊力が設定されているプラグよりも素早く沈みます。
沈ませたいところでサッと沈むということは、実際の水中での動きと想像上の動きかアジャストされやすいですね。
水中で動かした時にミノープラグのように水受けリップなどは付けられていないので、水の抵抗よりもメタルジグ自体の重さが手元に伝わってきます。
これは裏を返すと、ダイレクト感が強い分、手元のインプット力がリニアに伝わりやすいということになります。
ミノーやシンキングペンシルは、浮力やバランス設計・仕掛けが成されている分、姿勢を元に戻そうとする動きがあり、姿勢やレンジは概ね設計通りに動きます。
メタルジグにも同じような設計がされているスローフォール系の物もありますが、基本的には巻くのを止めると沈み込みので、逆に動きの制約が少ないと言えるしそれが利点と考えます。
「メタルジグの動き=短調」ではなく「メタルジグの動き=自由度が高い」と意識を変えていただくと、まったく印象が変わります。
上述した通り、ダイレクト感が強い分、当然手元の感度も良いということが言えます。
よく分からない感触に対して無駄な想像を膨らませる必要がなく、動いた通りの情報が伝達されやすいのです。
あり過ぎというくらい各メーカーから様々なメタルジグが販売されていますね。
サーフのヒラメ釣りで流用できる物も多く、プラグ一本2,000円で購入するところ、下手するとメタルジグ四本買えたりします。
釣具屋に行っては頭を悩ませる種ですが、掘り出し物などを見つけて、人と被らず自分好みのセットを組めるという楽しみもありますね。
前項のメタルジグの特性をミノーやシンキングペンシル・ワームと比較するとこんな感じの表になります。
item | メタルジグ | ミノー | シンペン | ワーム |
---|---|---|---|---|
飛距離 | 100m超え | 50〜70m程度 | 80〜100m程度 | 40〜60m程度 |
沈下速度 | 早い | 浮くかゆっくり沈む | ゆっくり沈む | 早い |
自由度 | 高い | 制限多め | ミノーよりは高い | 高い |
感度 | 高い | 普通 | よく分からない物も | 高い |
レパートリー | あり過ぎ | サーフ用意外とない | 似たり寄ったり | アイディア次第 |
表の通り、その見た目からゴージャス間のまったく違うプラグ類の方がアドバンテージがあると思われがちですが、実は、メタルジグは考え方と使い方次第で他のどれよりも繊細に釣りを展開することができます。
それを実現する釣法・釣論が何を隠そう、「Surf Jig Finesse(サーフジグフィネス)」ということになります。
それでは、ここからは具体的に「Surf Jig Finesse(サーフジグフィネス)」が一体なんであるのかを説明していきます。
それ系の呼称だと、ダイワのミッチー高橋さんが「サーフフィネス釣法」を提唱していますね。
ポイントが叩かれ過ぎてたり魚がスレ過ぎてるところへ10g以下とかのジグヘッドを使いワームでネチネチするやつですが、それとはちょっと違います。
Surf Jig Finesse(サーフジグフィネス)とはその名の通り、メタルジグのみを使ったサーフでのフィネス釣法です。
上述の通り、メタルジグは非常にその自由度が高いことから、手元のインプット情報でアクションを細かく微調整することが出来ます。
そして、バラエティ豊富な商品群の中から、それも約10g刻みでバリエーション豊かにルアーボックスをセットすることができますし、プラグを買い集める7割程度の出費で抑えられることも魅力ですね。
「サーフフィネス釣法」はポイントが叩かれまくった後やスレ魚に特化した釣り。
一方、「Surf Jig Finesse(サーフジグフィネス)」は、メインに展開する釣りとしても良いし、スレた魚にも効果的にアプローチすることが出来ます。
朝一、散々叩かれまくったポイントでもう諦めかけてた時、どこからともなくやってきた隣のアングラーが、いきなりヒラメを釣り上げたと思ったら「何だジグかよ!」といった経験も少なくないかと思いますが、それが、これに近いことが起きたからと言っても過言ではありません。
では、Surf Jig Finesse(サーフジグフィネス)※以下SJF を具体的にどう実践すればいいのか説明します。
まずは分かりやすく、非常にシンプルに良型ヒラメが釣れたケースを想定します。
例えば「ima GUN吉30g※以下GUN吉30」で釣りをスタートすることとしましょう。
ポイントは緩やかな傾斜が沖まで続く遠浅サーフとします。
GUN吉30をキャストして何回かただ巻きやストップ&ゴーを繰り返します。
手元に伝わる感覚から、思った以上に潮の流れが早く、遠浅サーフとはいえ割と水深はありそうに感じます。
魚の反応はまだありません。
ここで、同じGUN吉シリーズ内でルアーチェンジするとすれば、あなたはどれを選びますか?
色変え?それとも40g、または、50gと重い物を選びますよね…、それでOKです。
しかし、これを単なるウェイトチェンジで「より遠くへ飛ばしより着底感度を良くする」とだけの意識に留まらせるのではなく、もう一段二段繊細に思考して欲しいのです。
例えば重い物を選択することを軸にして、一段階目をルアーについての思考、二段目をバイトについての思考として考えてみます。
一段階目:ルアーについての思考)
メタルジグを重い物に変えるということは、重量と体積が増えた分、メタルジグが動いた時に水を押す量も増え沈下速度も早くなる。
二段階目:バイトについての思考)
水を押す量が増え沈下速度も速くなるということは、魚に対してのアピールが強くなるが、バイトを誘発するには適しているのか。
思考の結果、GUN吉30gから10g分アピールが強くなるGUN吉40を選択することとします。
同じポイントへ数回キャストし、同じくただ巻きやストップ&ゴーで展開した途端にバイトが発生。
見事に良型ヒラメを釣り上げることに成功です。
これがどういうことか分かりますか?
SJF的フィネスな思考(繊細思考)をしていなければ、「ルアー40gに変えて巻いてきたら釣れた」くらいにしか解釈できません。
それは、せっかく望むべくして答えが返ってきたのに、その答えを一番の旨味を差し置いて表面的に「アタリ/ハズレ」かでしか捉えておらず、極めて「勿体ない」ということです。
学校のテストでいうところの、とりま80点取れたからいいやで返却された答案用紙をポイしちゃうそれですしっかり復習しておけば次のテストで100点取れたのに…。
そう、SJF的フィネスな思考(繊細思考)の一番の旨味は、「釣れた答えを知れる」ということにあります。
ここでの旨味、すなわち本当の知るべき答えは次の通りです。
GUN吉30のただ巻きとストップ&ゴーでは至らなかったが、GUN吉40に重くしてその分アピール度を上げたらマッチ・ザ・バイトに成功した。
言い方を少し変えてみましょう。
GUN吉30よりもGUN吉40に変えて、水押しを強め沈下速度が少し早まったことでマッチ・ザ・バイトを誘発できた。
知るべき答えは一つだけではありません。
ヒラメは既にそこにいて、アングラー同様にマッチザバイトの機会を探っていた。
そもそものポイント選択が正解だった。
これも少し思考すれば更に繊細な答えを知れますね。
このポイントを選択した理由は、サーフの傾斜が周りより少し角度がついていて、波もここだけ立ち上がりが緩やかだったから。
ヒラメの付いている場所が一つ知れましたね。
以上は本当にシンプルなケースの一例に過ぎませんが、「え?SJFってそれだけかよ!」と思われる方も多いかと思います。
今回は、GUN吉シリーズ限定で「重い物を選択すること」の一つの軸だけで、SJF的フィネスな思考(繊細思考)を紹介したのでそれもそうでしょう。
しかし、実際にはこれに複数の軸を重ねて思考をすることになります。
例えば、「色の軸」、「アクションの軸」、「軽い物を検討する軸」、これらを足すと4軸の思考になるわけですが、シンプル計算しても4×4で16通りのアイディアが発生します。
「ごちゃごちゃといろいろ考えてめんどいわ!」と言う方もいるかもしれませんが、少なくとも私は、これまでの釣果はほぼ全てこのSJF的フィネスな思考(繊細思考)で上げていますし、もちろん、プラグの釣りにも応用しています。
さて、もっともっと踏み込んだ「Surf Jig Finesse(サーフジグフィネス)SJF的フィネスな思考(繊細思考)」の紹介はまた次の記事でシェアすることとして、今回はこの辺りにしておきたいと思います。
この記事やその他についてご質問・ご意見等ございました、本記事のコメント・お問い合わせページ「Contact」にてお寄せいただければと思います。